終わらない世界と百名ヒロキさん

師走の繁忙期、シレッと観劇。
百名ヒロキさん出演の
「終わらない世界」
主演は元宝塚の大和悠河さん。
新宿紀伊国屋ホールで2時間の公演。

 

小惑星の衝突により破滅する予定だった地球。次の日衝突は回避され、あっさり助かる。
「世界の終わり」から一転「終わらない世界」になった日のお話。
登場するのは舞台に関わる人たち。ジャニヲタ的に言うと、SHOCKみたいな環境の人たち。

開演早々、変な鼻水が出た。
幕が上がり、はじめに喋るのが百名さん!
小道具係トモル(百名さん)が主演女優ミワコ(大和さん)にポツンと。

 

「終わりませんでしたね、世界」

 

気まずそうに言う。

 

……ほほう。

……それあなたが言いますか笑

 

春先の退所で「マジでこの世の終わりだわ」と思わせた人が颯爽と舞台に戻ってきて言う台詞なんだから皮肉なもんだ。
長い目で舞台に向き合うつもりなんだろうと思える今だからついクスッときた。本編的には、冗談でもなんでもないのだけど。

地球最後の日。
舞台があるから、舞台に来た人。
家族と最後を迎えようとした人。
助かろうとした人。
オンナ2人とイェイイェイな夜過ごしちゃった人。
様々な最後を選んだ人たちは、終わらなかった世界で初日の幕を上げようとする。

終わらなかった世界。人の本性丸出しの醜い争い必至…!と思っていた私は性根腐ってる。(そういう内容の舞台だと思って準備してた)
それぞれの人が、それぞれにその日を生きようとする。時にユーモアを持って、時に本気で。
もしかしたら意外と人は、混乱の中こそ「自分のフツー」で生きるのかもしれない。実際、半年前まで自称仲田ロスドン底だった私は、今ヘラヘラ舞台の感想ブログなんかを書いている。外の環境が突然変わったって、そう人は変われない。そんな風に思わせられる「もしその状況ならそうかも」な人たち。

劇中、色々な愛情を見た。
家族への愛、仕事への愛、自分への愛。
その中でも、
「ファンなんです!」
「初演当時のパンフレットも持っています!」
「あなたを救えるのはボクしかいない!」
ミワコに面と向かって言えるトモル。
「あなたが舞台に立つ姿を観たい!」
「愛しています!!!」
「オレが死んでも必ず舞台に立ってください」
命まで捧げる元世話係現プロデューサーのタカオ(野口オリジナルさん)。

自分の強い気持ちを、憧れる本人にぶつけてしまえるトモルとタカオ。
私もヲタクだ。一心に愛情を注いだり、見守りたいという気持ちだけで幸せになる感情を、多少は知っている。
けれどあらゆる物事、人に対して「自分程度の人間がいたところで、たかが知れてる」と思っているところもある。権力ナシ金ナシ2人。出来るかわからないのに、必ずなんてないのに。

「好き」だけで強く真っ直ぐにミワコに向き合う。そんな姿を、少し羨ましく感じた。

だからこそミワコの在り方がニクい!!2人に対してフランクに接しつつも自分からは心通わせない。一方通行な関係に同情しつつ、

それでこそスター!手に届かない憧れの人!カッコイイ!

そんな感情も抱かずにはいられない。

ミワコが主演の舞台で演じるライアン・クーパーも、孤高のボス。愛されながらも独りで歩く強さを持つ人。
きっとミワコのファン達もライアンをとりまく人々も、そんなスターだから彼または彼女を好きなのに違いない。(ヘリコプターで劇場入りしたり、稽古場に「あのチンケンイチ」を呼ぶスケールのデカさもすこぶる魅力的だけどね)


ミワコやライアンの「憧れの人感」と言ったらすさまじい。きっと大和さん自身がそういった存在なのだろう。パンフレットで出演者の方が書いていたように、当て書きに感じる部分が何度かある。
百名さんが
「ショーマストゴーオン」
聞いたこと……アルー!!!
紫とホワイトのライトに包まれサッと片手を上げる姿。
……ハットに赤グローブの集団出てくるの?
これまでジャニーズ舞台メインで観ていたため、それが「ジャニーズならでは」なのか「舞台あるある」なのかはわからない。ただ、階段降りのダンス、主演にジャケ着せてハットを手渡すくだりなんかがあったりするもんだから。心に潜む「仲田拡輝担だったジャニオタ」が大喜びしたのは否定しない。 

たくさんのハプニングを乗り越え、初日の幕が上がる。トモル曰く「世界が救われた安堵の表情」で観客は見守る。
百名さん、どうですか?
ボクハレして、マクベスして、GANTZが決まった後のファンは、ちょっと前より世界が終わってない安堵の顔、してますか?

今回は1人で舞台に立ち観客に語りかけるストーリーテラー、お気に入りだった服をタンスの奥から引っ張り出したような気持ちになるダンス。新旧の「こういう百名さんが好きだ!」に巡り会えた。

「終わらない世界の為に」
「あるいは終わってしまった世界の為に」

これからも舞台に立ち続けてください、と願う作品だった。